櫻の王子と雪の騎士 Ⅱ




 炎の中



 彼女は笑う



 血を流し、傷を負い、死にかけていても



 その瞳にシェイラとよく似た黄金色を抱え



 かくも美しく、妖艶に。







 フェルダンを照らす轟々たる炎は



 一人の騎士の命を映したように



 闇夜を力強く輝やかせた。







 その日



 朝日と共に朔夜は終わりを告げる。



 そして



 ゆらゆら揺らめく炎は一人の命の終焉と共に



 静かに、静かに、消えていった―――








 
 
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