櫻の王子と雪の騎士 Ⅱ
◇
シルベスターの執務室
そこにはシルベスターをはじめ、特殊部隊の騎士達が集まっていた。
もちろんジンノもそこに居る。
壁に寄りかかり誰も寄せ付けない殺伐とした雰囲気を醸し出すジンノ。
真っ黒な長髪は手入れをされていないために乱れて、表情を覆い隠している。
廃人と化した力ない痛々しいその姿は、とてもじゃないが見ていられなかった。
「...ルミちゃんを...看取らなくてもいいんですか」
オーリングが声をかける。
「...俺にその資格はない、あいつとの約束も、十年前の誓いも、何も守れなかった...」
「ジンノさん、あんた...」
全てを諦めたような声。
もしかしたら、ルミアの後を追って...
そんな考えが頭をよぎる。
その時
「何だあれ......?!!」
ラウルが窓の外を見て叫んだ。
他の全員も、窓に駆け寄る。
「あれは...!!!」
皆が息をのむ。
そこに広がる光景、それは、目に見えるの全ての木々が桃色に彩られた
サクラの王都だった。