櫻の王子と雪の騎士 Ⅱ




 ◇





 サクラの咲き誇る王都の中心



 桃色の花びらの舞い散るそこにいる二人



 魔力の影響か、その場所の真上には青い空が見える。



 ルミアを腕に抱きながら、力なく座り込むシェイラ。



(魔力が...もう...)



 魔力が底をつきかけ、今にもこと切れそうなシェイラは、朦朧とする意識のまま、腕の中のルミアの頬をそっとなでる。



 二度と開くことのない固く閉ざされた瞼。



 絹のような白い肌



 銀糸のような滑らかな髪



 美しさはそのままに、その体温は氷のように冷たい。



 もう、いつ死んでもおかしくない。



(...本当の、最後か...)



 シェイラは力の限りルミアを抱きしめる。



 そして





 最後の別れを







「ルミ...好きだよ、誰よりも...愛してる」







 最初で最後の、口づけと共に。





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