櫻の王子と雪の騎士 Ⅱ
「...分かった、もう、いい」
「んん!!――っは、やめっぅん――!」
ルミアの説得もむなしく、ジンノは再び口づけを落とす。
先ほどまでの荒々しさはない。
だが、ジンノの手がルミアの服の下に差し込まれ、肌の上をなぞり始めた。
「...どうせ無理なら、アイツより先にお前の全てを奪ってやる」
口づけの合間に囁かれた内容に、背筋がぞっとする。
抵抗しようにも、魔法が使えなければ、力の差など明らかだ。
完璧に手足を押さえ付けられ動きが取れない。
おまけに、徐々に意識が薄れ始めるルミア。
(なん、で......?)
手足の感覚までなくなっていく。
ジンノの唇は、首筋、鎖骨とゆっくり下がっていくが、その時にはもう声も出せなくなっていた。
体中に落とされる幾多の口づけと、何度も繰り返される愛撫。
その間も心の中で何度も抵抗した。
意識が途切れる寸前、
「...ごめん、ルミア...」
そう言って、唇に再度キスが落される。
その時、最後に視界に映ったジンノは、やっぱり、泣いていた。
(にいさん、の...なき、むし......)
ルミアはそのまま、深い闇の中に意識を手放したのだった――