き み さ え い れ ば 。
*
あの日
『ごめんなさい……
やっぱり無理です……』
夜になるとまだ少し冷たい風が
身体にささる5月。
わたしと彼の関係が終わった。
本当に身勝手で自分のことしか
考えていないわたしに彼は、
「'俺といることが
春佳を苦しめてるなら……
嫌とは言えない'」
と、優しい声で言った。
電話越しだったから、
どんな顔をしていたかはわからないけど……
きっと傷つけたと思う。
彼が、明るい声で話してくれているのに、
わたしは、ただ、ごめんなさいと
謝ることしか出来なかった。
*