き み さ え い れ ば 。

『荻野さん……
無理しすぎですよ……
見つけたとき、
心臓止まるかと思いましたよ……』


本当に焦った。
パニックになっていたと思う。
課長に連絡して、
救急車まで呼んでいたなんて……
無我夢中だったとはいえ、
自分の行動に驚くばかりだった。


『荻野さん……』


そっと頬に触れる。


『荻野さん……
わたしの名前を呼んでください。
わたしを抱きしめて……
わたしだけを見て……
好きって言ってください。
そばにいてください……』


なんて身勝手な願いなんだろう。
自分から離れておきながら
やっぱりそばにいたいだなんて……

なんてバカなんだろう。
離れてからどれだけ大切だったのか
気付くなんて……


『荻野さん……好きです』


荻野さん……
わたしは、荻野さんのことが好きです。
そばにいたいと思うんです。

今さらかもしれないけど……
もう遅いかもしれないけど……

伝えたいんです。

だから……



< 106 / 127 >

この作品をシェア

pagetop