き み さ え い れ ば 。

『いい加減にしてください!
そんな状態で仕事出来るわけないでしょ!
荻野さんのバカ!』

「バカって……
でも、俺が行かなきゃ、
俺のクライアント、俺しか」

『荻野さんがいなくても仕事は回ります!
荻野さんに合った仕事はあっても
荻野さんにしか出来ない仕事なんて
ありません!
部のみんなを舐めないでください!
わたしを舐めないでください!』

「別に、舐めてなんか……」

『1日休んだらよくなったとでも
思ってますか?
このまま会社行って
今まで通り働けるとでも思ってますか?
それを許すとでも思ってますか?』


ありえません!!
と、泣きながら叫んだ。


「春佳……」

『わたしが……わたしなんかが、
手伝えるとは思ってません。
捌ける量だとも思ってません。
でも、荻野さんひとりで
仕事してるんじゃないんです。
助けてくれる仲間がいるんです。
頼ってください。
お願いだから……無理しないでください』


春佳が、こんなに感情を露にして
本気で怒って泣いているのを見るのは
初めてだった。



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