き み さ え い れ ば 。

それは、間違いだった。


『ほかの誰かと一緒になって
荻野さんに幸せになって欲しかった。
ひとりにしたかったわけじゃないのに……
仕事のマイナス面も重なって
どんどん追い込まれていく
荻野さんを見て、
こんなことがしたかったんじゃない
と思ったんです。』


誰かと、じゃなく。
誰かが、じゃなく。


『わたしが荻野さんを幸せにしたい。
わたしが荻野さんと一緒にいて
幸せだと思えたあのころのように、
荻野さんに幸せだと
思ってもらいたいんです。』

「春佳、それは……」

『今になってこんなこと言っても
遅いかもしれないけど……
荻野さん、わたしと付き合ってください』



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