き み さ え い れ ば 。

そして、ひとつ変わったことが。


「春佳、ちょっと」

『へ?あ、はい』


荻野さんに呼ばれた。

もう一度、付き合うようになってから、
荻野さんは会社でも堂々と
わたしを名前で呼ぶようになった。
最初は驚かれたけど、
今ではみんな慣れたもんで
ニヤニヤしながら見るだけだった。

ただひとりを除いては。


「これよー!これが1番キモいのよ!
春佳って……いーやーだー!」


叫んだのは、中川さんだった。


「何言ってんだ、お前」

「春佳ちゃん、やっぱりダメよ!
荻野なんてやめときなさい!」

「おい」


春佳ちゃんが汚れる!
と、荻野さんのもとに行こうとした
わたしを止める中川さん。


『中川さーん、痛いですよー』

「やだー!
先に春佳ちゃんに目をつけてたのは
わたしなんだから!
荻野なんかに渡さないんだから!」


荻野さんと中川さんに挟まれて
オロオロしているわたしを見て、
課長と白崎先輩が笑っていた。



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