き み さ え い れ ば 。

実は、この頃のわたしは
あまりの気まずさに自分が嫌になり
仕事を辞めようと思っていたのだった。

求人サイトを読みあさり
ホームページをみたり
直接行って雰囲気を見てみたりと
本気で辞める準備を始めていた。

荻野さんにとっても
気まずい相手がいなくなれば
いいだろうと思っていた。


けれど、さっきの電話で
わたしは荻野さんの行動を
誤解していたのだとわかった。

荻野さんは、わたしが嫌になって
離れていたんじゃない。

わたしを気遣って離れてくれていた。

話したいと言ってくれた。
前のように、普通に笑いあいたいと
言ってくれた。

それが、とても嬉しかった。



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