き み さ え い れ ば 。
荻野さんが怒鳴った次の日から
荻野さんは白崎先輩と組むのを辞め、
ひとりで仕事をしていた。
白崎先輩を怒鳴ったのは
荻野さんがミスした案件で
今度は白崎先輩がミスをしたからだった。
自分がミスしたことに対しても
イライラしていたのに
さらにミスが重なったことで
感情が抑えられなかったようだった。
白崎先輩が手伝いを申し出ても断り、
受け持っている仕事のすべてを
ひとりでやっていた。
「課長、確認お願いします。
赤い付箋のものは
午後から先方との会議に持っていくので
早めにお願いします」
「ん、わかった。
ほんとにひとりでやるのか?
白崎も、べつに」
「大丈夫です。
白崎には、ほかのを回してください」
「……そうか。わかった」
課長が声をかけても
頑なにフォローを断っていた。
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