正義は誰が決める?
そして、その日は清を愛空の隣に寝かせた
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翌朝
「あ、智樹?今日は学校休むから待ってても無駄だよ」
「分かった」
乱暴に切られた通話画面を見ながら支度の終わらない清と愛空を待つ。
適当でいいだろうになんで支度に時間かかるのかな、女ってのは。
まぁ、刹那やルイあたりに比べたら格段に早いんだろうな、清たちの着替えは。
そんな事を考えていると、リビングに入ってきた清に声を掛けられた。
「…成、終わった?」
「清、今日はずいぶん可愛いね。愛空は?」
「…愛空。こっち」
「あの、これは?」
そう言って自分の着ているフリル付きの服を指した
世間ではロリータと言われるか否かの境い目くらいの服。
小柄な愛空は完璧に着こなしていて色素の薄い金髪と青い瞳が少し古い着せ替え人形を思い出させる。
「……成の趣味」
「ん?」
「……愛空の新しい、洋服。です。」
「よく出来ました。もうやめようね。
愛空の前にここに住んでた人がいてその人の服だよ。ふわふわ系の服が好きな人でね、清にって置いて行ったんだ」
清の頭を撫でながら愛空に前に住んでた人の事を説明をする。
名前は時雨、今はモデルのアメとして活躍中。
「私、着ていい、の、ですか?」
「清がいいって言ってるからね。いいと思うよ」
「ね、ほんと、ですか?」
「……愛空だから。」
「ありがと、ございます」
「さ、出かけようか」
抱き合う清と愛空を横目に家の前に止まる車に乗り込んだ。
慣れている清とは違い車の前でオロオロしてる愛空
なんか、うん。
なんだろ、うさぎを見てる気分。
「おいで愛空」
「は、はい」
笑いながら手を差し出すとぎゅっと握った。
握られた手には力が篭っていて小さく震えていた。
車に乗って暫くして、比較的落ち着いた愛空に聞いてみた。
「何が怖かったの?」
「この車、高級車、です。だから」
うん、なるほど。時雨の時と同じ反応を示す愛空に笑いかけた。
未成年の俺は運転できないから運転手付きだしね。まぁ、初めてなら誰でもそうなるものなのかな
「確か清がこの車に初めて乗った時も愛空と似たような感じだったな」
呟くと以外そうな愛空と目を逸らす清。
俺とは違う清は本当に、最初こそ猫のように怯えていたっけな。
警戒心を無くすまでどれほど大変だったか。
思い出して苦笑した。
「…成、着いた」
「んじゃ行こっか」
車を降りて見えたのは大型ショッピングモール。
最近出来たって清に聞いてどうせならって今日ここに来たんだ。
車の運転手には3時間後迎えに来て、と伝えてその場を離れた。