正義は誰が決める?
誰にも傷つけさせない
in倉庫
刹那「ルィちゃんは、岬之君のどこぉ好きになったの?」
ルイ「え、と優しくて、何でも受け入れてくれるとこ」
刹那「刹那ゎ入学式の時のぁの事かなぁ。
なんか、直感で守ってくれるって思ったの」
本人の意思は無視して守ってもらえる前提ですか?
幹部室の前の手すりの上に座りながら心の中でそんな疑問が浮かんだ。
「そろそろ帰ろうか」
清に向き直って笑顔を浮かべた。
「……ん、愛空…」
「心配?」
「…ん、」
「そう」
*.*.*.*.*.*
愛空と清のドレスを買ったあの日から数日、白羅の幹部、亮太に連れられ白羅の倉庫に来ていた。
そして、1週間に3度は倉庫に来いって伝言を伝えられた。
自分で言えばいいのに、そう思ったけど顔も見たくないので幹部が集まる部屋へは行かずに下の階へ降りた。
下っ端が集まるそこはたくさんの情報と噂でありふれている。
「よぉ、最近どうだ?」
割と仲のいい優人に声をかけた。
隣には清。優人は清が好きらしい。
絶対に叶わないから辞めろと言ったが逆に笑われた。
『叶わないのは分かってるっす。それでも、気持ちは止まらないんすよ。』
笑ってそう言った優人は目に涙を浮かべていた。その時、あぁ、余計なことをしてしまった、と後悔した。
優人の為を思ってやった事が優人を苦しめた。その日から、何故か積極的に話し掛けてくる優人。
そのうち、清の事なんか関係なく一人の友人として優人と仲良くなった。
「やー寂しかったっす!なーさん全然倉庫来ないんすもん!」
抱きついてきた優人は満面の笑みを浮かべた。
相変わらずのなーさん呼びに苦笑を返して抱きつく優人を抱き返した。
隣に立っていた清はいつの間にか離れていて、誰かと電話している。
「お前の寂しいは寂しいじゃないだろ」
「えぇ!?そんなことないっす!」
俺や清と違ってよく笑う優人はいつも周りに人が居た。智樹にも気に入られている。
本人の意思を関係なしに。
優人は周りに人がいる事をたまに寂しく思うそうだ。
何一つ本当の事を言えない偽りの友達。前にそう言って悲しそうに笑った優人の顔が脳裏に浮かんだ。
「家にちゃんと帰ってるか?」
「そう直ぐには帰れないっす。でも、なーさんに言われた日に比べれば大分帰ってるっすよ。」
まだ、差別は酷いっすけど、と笑う優人の頭を撫でた。
複雑な優人の家庭環境は他人の俺が口を出せるものじゃない。
だけど、辛い事から目を逸らして体を背けていたら何時までも変わらない。
それに、俺は早く優人の本物の笑顔が見たいからな。
今のどこか顔色を伺うような笑顔なんて、ずっとはゴメンだ。
「辛くなったら俺ん家に来い。何時でも歓迎してやる」
「その言葉、忘れないで下さいね!」
「おう」
また笑った優人は清を一目見てからじゃあまた、と人の群れの中に入っていった。