正義は誰が決める?
「清、幹部室にかえるって言ってくる。電話、黒猫?」
「……んーん、愛空」
「愛空、いつもの?」
「……うん」
「そうか。……清、ここでもうちょっと待っててな」
そう言って清から離れて二階の幹部室に向かった。
コンコン、とドアを叩いて開けた。
「もう帰るから、その報告」
一言、そう告げてドアを占めた。
これ以上あの部屋にいる理由がないし、あいつらの反応を見る必要性もなかったから。
ポケットに入れていたスマホを取り出して一つの電話番号に掛ける。
隅で目をつぶっていた清はいつの間にか優人と楽しげに話している。
{はい、以下がなさいました?}
「迎えお願いします。いつもの倉庫で待ってます。」
{畏まりました。}
車を出すためだろうか。
電話を切られたスマホの画面を暫く眺めた。
さぁ、帰って裏パーティーの準備をしなくちゃな。
清を呼ぶため、二階から飛び降りた。その方が早いし。
俺の存在に気づいた清は走って抱きついてきた。
よろけそうになりながらも支えてやると子供のように優しく笑った。
さっきぶりっす!と近付いてきた優人の頭を乱暴に撫でて清の手を引いた。
「清、迎え頼んだから帰るぞ。優人、明日にでも一度家に案内してやる。約束、したからな」
「はい!」
子供のように優しく笑った優人はまた、人の輪の中に入っていった。
「……いい人。優人」
「…そうだな。優人は、俺には勿体ないくらいいいやつだよ。」
歩きながら、そんな話をして車の待つ倉庫へと向かった。