正義は誰が決める?
「なに」
視線はフロントガラスの外を眺めたまま突き刺さる視線を無視した。
電話の相手はまさか出ると思わなかったのか息を飲んだのが分かった。
まぁ、俺って機械通すとイケボらしいし、普通ずっと無視してたんだから出るとは思わないよな。
相手の気持ちも少しは理解できるので、少し待ってやったが相手は何も言わない。
繋がってるの分かってない?
「名乗れ」
電話の向こうの相手はなおも無言。
そろそろムカついてきた。
切っていいかな?あ、ダメ?チッ
もう一度、もう一度だけチャンスをやろうと名乗れと言おうとしたら、相手が先に話した。
『………………』
それは一瞬で、懐かしい声が聞こえて、電話の相手の焦った声が聞こえたと思ったらブチッと電話の切れる音がした
恐らく、公衆電話からかけてたんだろうな。
切れる前に、聞きなれたガチャッ!って音が聞こえた。
一方的に切られた通話画面を眺めた。
一瞬聞こえた懐かしい声は、少し低くなっていた。
けど、俺の大好きだった声に、違いなくて。
男か女かも分からない電話の相手は早口だったし、声も小さかった。
だけど、これは間違いなく依頼で。
久しぶりに聴いたソプラノ音に、心が踊った。
『私“達”を探して』
『期限は1ヶ月』