正義は誰が決める?
眠ったままの清を姫抱っこで運び、靴箱で多少苦戦しながら俺も清もスニーカーに履き替える。先生たちに見つからない為に中庭を通った時御崎ルイを見つけたが、目が合う前に知らないふりをして来た。今は清が寝てるから、清の事を気遣わない御崎ルイに構いたくなかったんだよね。
校門までゆっくりと歩いていると、予定調和のように黒い車が止まる。大方俺を待たすわけには行かないけれど車の前に堂々と停めて待つことも出来ないと角のところで俺が出てくるのを待っていたのだろう。
小さな玄関口の鍵を開ければ、専用執事の爺が戸を開ける。清を預ければ、爺は心得たとばかりに車に戻り清を寝かせる。さすが爺、優秀な執事だ。僕もその後ろについて行って、車に乗った。
運転手が音を抑えてドアを閉めて、清と僕の荷物をトランクへ積み込んだ。
車へ乗る前に視界の端に靴箱で靴を履き替えている御崎ルイを見たけれど、構わず車に乗った。 後ろに迫る宮本亮太が見えた事もあるけれど、僕が御崎ルイを無視した理由の大半は彼女が清をいじめているからだ。
タダでさえめんどくさいのに、二人きりで話してもみろ。 家に着いて行く!って言って聞かない姿がありありと思い浮かぶ。それが嫌だから中庭でも無視したんだから。
ため息をついて、よろしいのですか?と聞いてくる専用執事に構わず車を出すよう命じた。前に一度だけ御崎ルイを乗せた事を覚えていたんだろう。 それか意外と清と仲のいい宮本亮太がいたからか。
爺の真意は分からないけれど、僕が気にすることでもない。急にどうでも良くなって、考えていたことをポイと放る。 肌触りのいい座席に身を預けて、眠ったままの清を見やった。
睡眠中にだけ見せる、あどけない笑顔。
何の夢を見ているのか、もう何年も見ていないほど柔らかい、優しく包み込むような笑みを浮かべていた。
家に着くまで、清の眠りが覚めないように注意しながら、そっとその頬にキスした。
「夢のなかだけは、どうか無邪気に」
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登場人物の簡単説明
白羅→関西№1の暴走族
上条智樹→白羅の総長、成が嫌い(?)
木野刹那→白羅の姫、ぶりっ子(未登場だけどちゃんと屋上にいた。いつの間にか増えた人)
宮本亮太→白羅幹部、清と仲がいいよ(御崎ルイを探しに行かされたある意味被害者)
御崎ルイ→白羅幹部、バカ、脳内お花畑(成曰く)
岬之成→白羅副総長、主人公?
岬之清→成の妹、白羅の姫、無口ちゃん(成が正しく理解してくれるから喋る必要が無いとも言う)
過去にちらっと出てきた彼女に関してはそのうちの出します(多分)
黒い車は億を下らない高級車