正義は誰が決める?


「ただいま、清」


少し大きな声を出して言うと中からルイが出てきた。


「おかえりー!ってそれだぁれ?」


なんでここにいる。


目を擦っても目の前にいるのは清じゃなくてルイ。

開いたままの玄関のドアを1度閉めて表札を確認した。

そこには間違いなく岬之の文字。

なんでうちの家にルイがいるんだ?


「……ど、した、ですか?」


首を傾げるBARで拾った女。
それに別にと答えて再度家の中へと入った。


(まぁいいか、後で聞こう)


物事はなる様にしかならないんだから。

閉じたドアを開けると今度は誰も来なくて見間違いか、と思いながらリビングに入る。


「なんでここにいるの」


リビングの中には白羅の幹部以上が全員集まっていた。


ダイニングテーブルにドカッと座る智樹と刹那。
俺のお気に入りソファーに腰掛ける亮太。

部屋の隅で丸くなる清と寄り添うように座るぷきゅー。


さて、どうしたもんか。

とりあえず、拾ってきた女と清に醜いものは見せたくないから部屋へ案内しようか。

腕の中で震える女を安心させる為にそっと腕から下ろして手を握った。


「清、ぷきゅー、おいで」


「ん」


猫みたいに丸くなって座っていた清はぷきゅーを抱いてやって来る。

同時に、手に力を入れた女の綺麗な瞳には怯えが見え隠れしていた。

大丈夫、その意味を込めて優しく頭を撫でた。


「あ、」


「どうする?」


「…空愛。…ダメ、かな?」


「名前、アクアでいい?」


BARで拾ってきた女に振り向いてそう聞いた。

状況に付いていけない女は目で助けてと訴えかける。


助けてあげたくても無理なんだよ。
清とぷきゅーには慣れてもらわなきゃ困るから。

白羅とかは別に慣れなくても良いんだけどね。


「アクア、私の、名前」


「うん」


「綺麗な、名前。です」


今まで表情の無かった女が微笑んだ。

それは、本当の女神の様に綺麗で傷のない金髪が空愛の容姿を更に際立たせた。


「さ、名前が決まった事だし清はぷきゅーと愛空を部屋へ案内してくれる?」


「ん、…誰の?」


「んーそうだね、時雨がいた部屋」


「…行こ」


清は、女…愛空の手を引いて2階にあがっていった。

二階に上がるのを見届けて愛空に興味津々な不法侵入者共へ視線を向けた。


「俺さ、自分の家教えたっけ?」


「聞いたけど教えてくれなかった!」


「じゃあ、何でここにいんの?」


「遊びに来たのよ」


ニコニコ答えるルイと当たり前の如く言葉を挟む刹那

こいつら人の家だって分かってんのか?
ムカつくなぁ。本当、ムカつくなぁ。


「誰に俺の家聞いたこの不法侵入者共」


「清に電話したらここだって教えてくれた」


堂々と嘘をつく亮太


しかも、清が教えるとかアホか


「嘘つくならもっとましな嘘つけ。
はぁ、車付けやがったな」


「……だから言ったのに。……アホ」

いつの間にか2階から降りてきていた清は亮太へそう言った


清に言われた亮太は………固まってる


「とりあえずお前ら帰れ」


「やだ!」

「なんで帰んなきゃ行けないの?」

「いやだ」


「強制的に帰らされるか、自分で帰るか選べ」


「「「すぐに帰ります」」」

と、文字通り即答

最初からそう言えや、なんて思いを隠しながらイライラは隠さず貧乏揺すり。


「成君!」


「ん?」


「あのね、さっきの女の子誰?」


「暗くなる前に早く帰りな。最近、物騒だから」


曖昧に笑って頭をなでた後、納得のいかないルイを強制的に外に出して一緒に出ていこうとする智樹に声をかける。


「智樹は少し残って」


「なんで?」


「話があるから?」


「分かった」


そう言って一度外に出た。

戻ってきた時、ルイ達は帰っていた。

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