青の、果実。

お弁当箱が無くなっているのに
気付いたのは放課後のことだった。



皆が教室を出て行く中、
わたしはバタバタと机の中や鞄の中を荒らしていた。




あれ?あれ?ない、ない、ない。
お弁当箱、どこにやったっけ。


えーと、確か蘭に行く前に慌てて
飛び出して行ったから
机の上に置きっ放しにしていたような。



頭の中で今日のお昼の事を思い出そうと張り巡らしていると
光太郎が慌てているわたしに声を掛ける。



「おい、何やってんだよ、あほ。」

「いや、わたしお弁当箱どこにやったかなって。
光太郎知らない?」



バタバタと鞄を揺らすわたしに
光太郎は鼻で笑う。


「食いしん坊のマコの事だから
箱ごと食っちまったんだろ。」

「今日は食べてないもん!」

「いつもは食ってんのか?」

「そうじゃなくて、お弁当食べてないって事…!もう!」


光太郎とのこんな痴話喧嘩も
もう十年くらいになるのかな。

相変わらず腹は立つのだけれど。




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