青の、果実。
ぼーっと遠くの海を二人で見つめている時だった。
ポタッと、雫がわたしの頬に落ちた。
「え、嘘…。
こんなに天気いいのに雨?」
「そう言えば、雨が降るって言ってたかも。」
家に居ても暇でニュース番組ばっかり観てたからって、幡山くんがおどけてみせた。
「じゃあ、そろそろ戻ろうか!」
わたしが腰をあげると、バッと
幡山くんがわたしの腕を掴んだ。
「ちょっと待って、
俺、黒川に話しておきたい事があるんだ。」
幡山くんの目は先程とは違って
やけに真剣だった。
雨がポツポツとまた頬や、髪の毛に触れた。