青の、果実。
「はい、探してるのこれでしょ。」
目の前には何故かわたしの赤いお弁当箱の袋を持つ、幡山渚が居たから。
「え、あれ?え、なんで?あれ?
幡山くんが…?」
毎日の様に話題に出てくる噂の彼が
目の前に現れて
驚きのあまり上手いこと言葉に出来ない。
しかも幡山くんはわたしのお弁当箱を目の前に差し出している。
「黒川のお弁当、泣いてたよ。」
「え?」
わたしはお弁当を受け取る。
あれ、軽い。
「誰も食べてくれないって
泣いてて可哀想だから食べた。」
「あ、そっか、そうなんだ…。
て、え?!?!?!た、食べた?!」
幡山くんがあまりにも意味の分からない事を言うものだから
つい声が大きくなる。
幡山くんが?わたしのお弁当を食べた?
ん?