青の、果実。
幡山くんとは話す事もなく
ただ彼は前を歩いて行く。
いつもの海沿いの帰り道が
違う道に感じていた。
少し背の高い転校生の彼の背中を
こんなにもマジマジと見る日が来るなんて思いもよらなかった。
幡山くんは横田町バス停前の
駄菓子屋の前に立ち止まり、どかっと
店の前のベンチへと座った。
座りな、と言っているかのように
立っているわたしをチラッと見た。
「お、おじゃまします…。」
距離を置いてわたしは幡山くんの隣に座った。