青の、果実。

幡山くんは座ってからも口を開くことはなく、ただぼーっと空を眺めていた。


わたしはと言うと正直、何故ここに
彼と一緒にいるのかわからなくて。

そして無言に耐えられなくて
質問をぶつけるしかなかった。



「幡山くんはどうして
こんな時期にこっちへ来たの?」



彼にとったらこんな質問はもう誰かに
何回も聞かれているかもしれない。


幡山くんはそっと口を開いた。


「親の仕事の都合で。
俺だけ来たんだけどさ、
こっちにばあちゃんいるから。」


高くも低くもない彼の声は
心地が良かった。





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