青の、果実。
「本気で笑える日が来ればいいよね、黒川。」
じゃあ行くか。と、言って彼は立ち上がった。
その瞬間、駄菓子屋の方から
聞き慣れた声がした。
「渚、帰っとったんかい。」
ハッと、顔をあげて後ろを振り向くと
駄菓子屋のおばぁちゃんが居た。
「ただいま。ちょっと話してた。」
「え、帰っとった?ただいま?って、え?」
わたしは幡山くんと駄菓子屋のおばぁちゃんを交互に見上げる。
「なんや、渚と話しとうの、
どこの美女かと思ったらマコちゃんやないの。」
大体、一週間に一度は顔を出すのに
毎回おばぁちゃんはいつも
どこの美女かと思ったら、って言って来る。
本当に優しい人。
「え、まさか、てことは、幡山くんのおばぁちゃんって。」
「そう、ここ俺んち。」
「えー!そうだったの?
すっごーい!わたしずっとおばぁちゃんにお世話になってるんだよ?!
知らなかったー!」
さっきの話なんて忘れて
わたしは衝撃の事実にびっくりしていた。
本当にびっくりしてつい立ち上がっちゃった。
まさかおばぁちゃんにこんなかっこいい幡山くんと言うなの
お孫さんが居たなんてね。