青の、果実。
「本当に、おばぁちゃんとは
ちっちゃい時からね…!」
「知ってるよ。」
辺りは夕暮れになっていて、
もうそんなに時間が経ったのかと思った。
夕暮れのせいかよくわからなかったけれど、
知ってるよ。と言う幡山くんが
少し笑ったように見えた。
きっと、気のせいなんだけれど。
「渚、あんたマコちゃん送ってきんしゃい。
すぐここの裏通りやけん。」
「おー、そのつもり。」
ほら、行くぞ。と、またわたしを置いて歩き出そうとする。
「あ、待って待って!
わたし大丈夫だから、一人で帰れるよ。」
「そうか?」
これ以上、幡山くんと居ると
また変なことを言われそうで、怖くなってわたしは逃げた。
「う、うん!じゃあまた学校で。
おばぁちゃんもまたね!」
帰りはやけに早足で。
どうしてだろう、わたし。
彼の事、きっと苦手なんだろうけど。
きっと彼が言ってること、
“本気で笑える日が来ればいいよね。”
きっと自分自身、
何処かでずっと思ってたんだと思う。