青の、果実。
卒業まで残り約一年と言うのに
いきなり転校して来て、確かにおかしな話だ。
しかも、こんなド田舎の町に。
都会から来た淡いブラウンの髪の彼は
妙にクラスで浮いていた。
いや、もしかしたらこの学校で。
「なぁ、マコもそう思わねぇ?」
光太郎はいつもわたしに同意を求める。
「え…そうかな…?」
小声になってしまうのは
担任の大和田先生に
井草と黒川、またコソコソと止めろ。と、
毎度の事注意されてしまうのを
恐れているせいなのか
それともたったの二十名程しか居ない
教室の一番前の席に座る彼に
この話の内容が聞こえてしまうんではないかと、
心のどこかで考えてしまっているせいなのか、
どちらかと言えば、後者なのかもしれない。