青の、果実。

「今日あっつい〜。
さすがに長距離はキツイ〜。」



体育の授業中、レイナちゃんは
手でパタパタと扇ぎながら嘆いた。



うちの高校では人数が少なく
隣のクラスと体育だけは合同で授業をするのだ。



「ね〜、ちょっと休憩!!」


美羽ちゃんと奈子ちゃんがしゃがみ込むから
わたしも立ち止まった。



「え!ねぇ見て!
いま光太郎シュート決めた!かっこよすぎ!」

きゃっきゃっとレイナちゃんが
見つめる方を辿れば
男子達がサッカーのゲームをしていた。



「やっぱり、また上手くなったな…。」


初心者のわたしでもわかるくらい
光太郎はサッカーのスキルを上達させていた。

こんな町でサッカーをしていて
本当に勿体無いなぁってずっと思っている。

でもそんなことを言うと
俺はこの町で、充分だ。って、言われちゃうんだけどね。


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