青の、果実。
どれくらい歩いただろうか
潮風の匂いを辿って来たかのように着いたのは浜辺だった。
「着いたっ。」
「えっ?ここ?」
この浜辺は小さい頃からよく、お母さんやさおりさんに連れて来てもらって
遊んで居た場所だから、よく知っている。
「幡山くん、いい場所って、
わたしここにずっと住んでいるんだし
この浜辺くらい知ってるよ。」
「それもそうか、じゃあ向こうは?」
浜辺よりも奥の岩陰を指差す。
幡山くんが歩き出すので、わたしも後ろから着いて行く。
少し大きくて硬い岩がゴツゴツと
たくさん並んでいる道を歩いた。
大きい岩も越えて見えてきたのは
真っ青に広がる海と、草原だった。
この時期だからか、たんぽぽや可愛らしい花々が並んでいた。
「え…すっごい…。」
その綺麗さのあまり目を丸くさせた。
「ちっちゃい時に見付けた俺の秘密基地。
黒川を招待してやるよ。」