青の、果実。
まさか浜辺の近くにこんな草原があるだなんて思いもよらなかった。
こんな場所に道があるだなんて、
十七年間住んでいたのに、気付かなかったんだ。
幡山くんは草原の真ん中まで歩き
その場に寝っ転がった。
「制服汚れちゃうよ!?」
「いいから、黒川も寝っ転がってみ。」
幡山くんに手招きをされて
わたしもその場に寝っ転がってみる。
ぱっと目を開ければ
雲ひとつない真っ青な空が広がった。
「わ…すっごく気持ちいい…。」
自然と笑顔になれるのが自分でもわかった。
「日頃のストレスもぶっ飛ぶだろ。
何かあれば、ここに来る。そうすればだいぶ楽になる。」
ふと、横を振り向けば
幡山くんも笑っていた。
初めて笑った幡山くんは、凄く凄く綺麗な顔をしていた。
空を見て、海を見れば
自分がちっぽけに感じて、ため息なんてつけなくなっていたんだ。