青の、果実。



「それが、黒川マコだ。って、初めて見た時から、わかった。」




もしかしたら、ばぁちゃんは
俺と黒川が小さい頃に遊んでたの知ってるのかもなぁ。

と、幡山くんは小さく呟いた。




そんな事があったんだ…。



だから、幡山くんはわたしなんかに声を掛けてくれてたんだね。

わたしは、幡山くんの優しさに気付いた。


苦手かもしれない、なんて思って
ごめんなさい。と、心の中で呟いて。



「でもね、わたし、わからないの。
楽しくなさそうだなんて、言われた事なかったの。

わたしはレイナちゃん達と一緒にいて
普通に笑えてると思ってた。」



入学してから今までの事を思い出す。

同じ中学で仲が良かった子達は
みんな私立の学校へ行ってしまい、わたしは一人ぼっちだった。


光太郎とは違って人見知りなわたしは
光太郎がたくさんの人と

ゲラゲラと笑いながら話しているのを見ては
羨ましく思っていたんだよな。


そんなわたしを見て光太郎が

こいつ俺の幼馴染みで友達居なくて可哀想だから友達になってあげて!


と、教室内で叫んでいたのを
今でもすぐに思い出せる。


とにかく恥ずかしくて逃げ出したかったんだけど、
あのお陰でレイナちゃん達が声を掛けてくれたんだ。




< 44 / 123 >

この作品をシェア

pagetop