青の、果実。

「さて、こんままちょっとだけ店番サボるか。
客なんて誰も来ないしさ。」




そう言って幡山くんは表の看板を
“閉店中"に直しシャッターを半分まで閉めた。



「え、でもいいの?
勝手にそんなことしちゃっても。」




「大丈夫、大丈夫。
ちょっとだけだから。」



ほら、と手を差し伸べられ
わたしは不意にその手の上に自分の手を乗せる。



ちょっとだけだから、と言って
悪意がありそうに笑う幡山くんもまた可愛かった。




わたしってば、何手なんか自然に
乗せちゃって…。
何やってんだろ。




自分でも顔が赤くなり
鼓動が早くなるのがわかった。




幡山くん彼女いるのに
誰にでもこう言う事しちゃうのかな…?





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