青の、果実。
蘭に着くなり、皆同じラーメンを頼み
カウンターで一例に食べる。
味は美味しいけどお店の雰囲気は
どうしても苦手だ。
油やホコリで壁に掛かっている
手書きのメニューが剥がれかけている。
わたしは毎回、イスやテーブルに
汚れがついていないかチェックするのだ。
何よりセーラー服が
臭くなるのがどうしても嫌だったから。
「んねぇそれよりさっ、幡山くん
超かっこいい!」
レイナちゃんが半熟たまごを割りながら声を出す。
この台詞は確か、二十回目だ。
「だめだめ、レイナ。
幡山くんって向こうに彼女いるんだってさ。
隣のクラスのユミが落ち込んでたよ。」
美羽ちゃんがすかさずそれに返す。