青の、果実。

今日は店番があるから、いいよ。
と、お家まで送ってもらうのはさすがに断った。





「じゃあ、また明日ね!」




「あ、黒川。
番号教えて。あとメールの連絡先。」





どきっと、した。

こんな風に男の子に連絡先が聞かれる日が来るなんて。




「え?え!わたしでよければ!」



なに、きょどってんだよ。
おもしれ〜って幡山くんに笑われて
凄く恥ずかしくなった。




「ありがとな!何かあればいつでも
連絡しろよ。」



そう言ってくれて、
わたしは幡山くんに大きく手を振った。



最後までわたしが見えなくなるまで
幡山くんはずっと外で見ててくれて

その小さくなる影を見て寂しさを感じた。




わたしは大切に幡山くんと連絡先を
交換した後の携帯を

ぎゅーっと握って抱きしめていた。



袋に入ったチョコレートが溶けてしまうくらいに。



< 81 / 123 >

この作品をシェア

pagetop