青の、果実。
今日は店番があるから、いいよ。
と、お家まで送ってもらうのはさすがに断った。
「じゃあ、また明日ね!」
「あ、黒川。
番号教えて。あとメールの連絡先。」
どきっと、した。
こんな風に男の子に連絡先が聞かれる日が来るなんて。
「え?え!わたしでよければ!」
なに、きょどってんだよ。
おもしれ〜って幡山くんに笑われて
凄く恥ずかしくなった。
「ありがとな!何かあればいつでも
連絡しろよ。」
そう言ってくれて、
わたしは幡山くんに大きく手を振った。
最後までわたしが見えなくなるまで
幡山くんはずっと外で見ててくれて
その小さくなる影を見て寂しさを感じた。
わたしは大切に幡山くんと連絡先を
交換した後の携帯を
ぎゅーっと握って抱きしめていた。
袋に入ったチョコレートが溶けてしまうくらいに。