愛なんかいらない
そこに立つと
美しいポプラ並木や、その脇に広がるバラ園が見渡せすことが出来る。
青扇学園の庭はどこまでも広く、
手入れが行き届いて四季それぞれに美しい。
"西園寺"庭、"金城"並木 等、
それらしい名前がついていることから
代々の”A”グループの父兄による寄付金の賜物なのだろうと想像がつく。
そんなことを思いながら階段を上っていくと
最後の数段を残し踊り場に立つ男子学生の後ろ姿が見えた。
よく見ると、その後ろ姿は洸だった。
声を掛けようかあきらめて図書館にでも行こうかと悩んだその時。
「好きなんです」
そう 聞こえてきた。