マリオンの塔の物語
「僕は、ここへ来てずいぶん経つけど、
ここで自分以外の人間に出会ったのははじめてさ。
…いや、違うかな。自分以外の生き物に出会ったのがはじめてだ」
「……なにそれ」
今度はエリオットがつぶやく番だった。
ふいに、少年が吹き出した。
そして二人はお互いの顔を見ながら、声を上げて笑った。
「エリオット、よろしく。僕はミズリウル。ミズリーと呼んで」
「わかった。よろしくな、ミズリー」
この瞬間、私たちは友達になった。
そして、ミズリウルは、自分がなぜこの世界に来ることになったのかを私に話した。
これを話すのはエリオットがはじめてだ、とも彼は言っていた。