【完】すき、好き、大スキ。



「ね、ねぇ。璃久」

「何や、わからんのか?」



お尻をズラし、璃久に少し近付いて上目遣いで見上げたのに。

ちょっと優しい璃久が、あたしの目を見て首を傾げた。



「あ、うん! こ、これが!」



その仕草に、胸がドキドキして。



近寄り作戦失敗。




「あー。ごめん、シャーペン落としちゃった。拾っ……」



そう言葉を言い切るより前に



「ほら。どうやったらこんなとこにシャーペン飛ばせんねん」



そう少し目を細めて、シャーペンを手渡す璃久に……

キューンと胸が高鳴ってしまった。




これまた

机の下で見つめ合い作戦失敗。



「あ! 辞書忘れちゃった! 璃久の貸し……」

「これで間に合うやろ」



立ち上がろうとするより前に、差し出された辞書。

宙に浮いたお尻は、元の位置へと逆戻り。



さて

立ち上がってよろける作戦失敗。




< 121 / 381 >

この作品をシェア

pagetop