【完】すき、好き、大スキ。
「ね、ねぇ。璃久」
「何や、わからんのか?」
お尻をズラし、璃久に少し近付いて上目遣いで見上げたのに。
ちょっと優しい璃久が、あたしの目を見て首を傾げた。
「あ、うん! こ、これが!」
その仕草に、胸がドキドキして。
近寄り作戦失敗。
「あー。ごめん、シャーペン落としちゃった。拾っ……」
そう言葉を言い切るより前に
「ほら。どうやったらこんなとこにシャーペン飛ばせんねん」
そう少し目を細めて、シャーペンを手渡す璃久に……
キューンと胸が高鳴ってしまった。
これまた
机の下で見つめ合い作戦失敗。
「あ! 辞書忘れちゃった! 璃久の貸し……」
「これで間に合うやろ」
立ち上がろうとするより前に、差し出された辞書。
宙に浮いたお尻は、元の位置へと逆戻り。
さて
立ち上がってよろける作戦失敗。