【完】すき、好き、大スキ。
え?
何?
倒れたあたしの上には、ハチミツ色の髪を垂らした璃久がいる。
「り、璃久。積極的……だね」
ちょっと焦ってしまった、あたしはヘラッと笑った。
「笑うな」
静かに囁かれた声に、あたしは口を閉じた。
ど、どうしたんだろう?
頭に浮かぶのはそればっかりで。
さっきまでのあたしなら思ってたオイシイ状態に、変に不安が過ぎる。
「お前って、自分の気持ち押し付けてきてばっかりで。こっちの気持ち無視してへんか?」
プルプルと倒れたフローリングの上で首を横に振った。
「なら俺の気持ち、わかってん?」
「……」
「俺には押し付けてるようにしか見えへん。それで満足か?」
何も言えない。
何で突然、こんな事を言われるのか。
何で突然、璃久が怒ってるのか。
何ひとつわからないけど。
あたしが押し付けてる事に変わりはない。
初めからずっと、あたしは璃久に気持ちを押し付け続けてる。
璃久の事を考えていなかったわけではない。
ただ、好きって気持ちが大き過ぎて、止めれなかっただけ。