【完】すき、好き、大スキ。
チャイムを押したあたし出迎えてくれたのは、驚いた顔をした璃久だった。
まさか、璃久が出て来るなんて思ってもみなかった、あたしも驚いたけど。
取り合えず、エヘッと笑って見せる。
目を細め、眉間に皺を寄せ、静かにドア開けてくれた璃久は
「お前……何してん?」
あ、この言葉。
璃久によく言われてたな。
なーんて思える辺り、今のあたしには余裕がある。
「部屋、入っていい?」
「は?」
そう言って、璃久の顔を見ないように玄関へと足を入れる。
「お前、何考えてんねん! さっきのんみたいなん嫌やったら帰れ」
その言葉に躊躇しそうになるけど。
もしそうなったら、止めた璃久の言葉を聞かなかったあたしが悪い。
でも、それでもいいんだ。
あたしは、璃久と過ごして来た時間が嘘だと思いたくない。