【完】すき、好き、大スキ。



「だって、あたしの方が力ありそうだし。それにあたし……重」

「阿呆か。男と女の力を一緒にすんな」

「え、でも。あたし3つ上だし」

「それでも男をナメんな、ボケ」



そう言うと、

軽々とペダルを漕ぎ始めた璃久。


普段、自分で漕ぐよりも速く進む自転車。



「璃久ー、塾で疲れてんのに大丈夫?」



あたしといえば、
やっぱり聞いてばっかりで。



「塾ばかやと運動不足なるからな。たまには重いもんを運ぶんもいい運動やろ」

「なぁ!」



って言われながらも、
つい笑顔になってしまう。



ね、璃久はやっぱり優しい。



周りは誰もわかってくんないけど、



優しいんだ。



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