【完】すき、好き、大スキ。



コイツは本間に阿呆や。

俺が言いにくいのを察せや。

それを何言おうとしてんねん。

何言わせようとしてんねん。

しかも泣きそうになって。

今ちゃうやろ。

泣くんは、さっきやろ。



あ゙ー!


んな触るな、攻めるな、呼ぶな!



「あー! もう、そうやって簡単にベタベタすんなっ」



頭の中がいっぱいいっぱいになって、
気付けば梢の手を振り払った後だった。


その瞬間、


顔をあげた俺が見た梢は、
すげぇ傷ついた顔してて。


ボロボロと大粒の涙を流してて。



「ごめん、泣くなって」



そう素直に言えた俺は、
零れた涙を指で拭った。


拭っても拭っても止まらない涙を隠すことなく



「ねぇ、あたしの事、好きって意味でいいのかなぁ?」



って、これでもわかれへんのか。

まだ確認するんか。

って思ったけど。



俺はそっぽ向いて頷いた。



< 189 / 381 >

この作品をシェア

pagetop