【完】すき、好き、大スキ。
■3スキ■
募るイライラ
半袖から、長袖に変わる頃。
あたしは、暑いのを我慢して羽織っていた
カーデガンの腕をまくった。
「おい、大石いるかー?」
昼休み、
担任の何とも気の抜けた声が
教室に響く。
「あーい。先生、何?」
「あ、居たか。ちょっと相談室まで来い」
「へ?」
そう言い残し
消えてしまった担任。
周りで鏡を見ていた皆の視線が
あたしへとうつる。
「ちょっと、梢。何したの?」
「え? 何もしてないよー」
「あれじゃん? 受験じゃないの?」
「……あ」
ユリア達に言われ、
やっと思い出した。
あたし、まだ進路表提出してなかったかも。