【完】すき、好き、大スキ。



璃久の塾前で、
手摺りに座り足をブラブラとさせる
あたしの片手には学校で貰った就職先の用紙。


就職かぁー。

んー。

どこがいいのかなぁ。


将来なんて、まだまだ先のことだと思うんだよね。

後半年もすれば高校生じゃなくなるなんて……考えれないんだけどなぁ。



ペラペラと風に揺れる紙が、
ピタッと止まったと思ったらあたしの前に影が出来た。



「なんや、お前就職に決めたん?」

「あ! 璃久!」



いつもなら塾から出て来た瞬間気付くのに、今日は不覚!

こんな紙切れに意識は集中しちゃって見てなかった。



「ごめんねぇ、璃久ー」

「は? 何謝っとんねん」



先に気付かなかった事にだよ。

お疲れ様! って言うのが日課なのにー。


あ、でも璃久があたしに気付いてくれたって事だよね。


それはそれで嬉しいかも♪

あたしがココに居るのを、
ちゃんと見てくれて気付いてくれて、
側に来てくれたんだもん。



これってすっごい進歩だよね!




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