【完】すき、好き、大スキ。



「あ、神楽君! まだ居てよかったぁー」



ホワンとした空気が流れるあたし達の間に、
女の子の声が入って来た。

一気にその空気は壊れてしまい、
あたしは声のする方へと顔を向けた。



誰よ、邪魔するのはっ!!



……あ。



「こんにちは、梢さん」



そこには、夏休みが明けてからやたら大人っぽさに磨きをかけた後藤さんが居た。



「おぉ、後藤どうしたん?」

「あ、あのねっ」



ちょっと待ったぁ!

前は“後藤さん”って呼んでたのに“後藤”になってない?

いや、苗字の呼び捨てなだけなんだけど。



ちょっと親密になってるよね。



え?

そうなの!?

いつから?

やっぱ塾で?


なくなった“さん”に脳内を占領されてるあたしは、2人の会話を聞く暇もなく。



ただ、後藤さんの最後の



「じゃあ、明日ね」



って言葉だけが耳に入って来た。




< 200 / 381 >

この作品をシェア

pagetop