【完】すき、好き、大スキ。
駅前に居るだけで、
目立つハチミツ色の髪と綺麗なくらいに整った顔。
最近の璃久は、またかっこよくなったと思う。
身長も急激に伸びてて、中3の成長期って凄い。
一樹だって“可愛い”より“カッコイイ”って言ったもんね。
そんな璃久に見惚れていたら隣で
「あ、あの子?」
と小さな声が聞こえた。
一樹の指差す方へ視線を向けると、
今日も髪をなびかせた後藤さんが嬉しそうに璃久へと向かって歩いていた。
あたしがコクンと頷くのと、
後藤さんが璃久に声をかけるのは
多分、同時だったと思う。
この距離じゃ何を話しているかなんてわかんないけど、璃久の表情はわかる。
そんな優しい顔、しないでよ。
胸の中の小さなモヤモヤが、
一気に大きくなった時だった。
「ほら、行くぞ」
そう一樹が立ち上がったのを見て、
あたしも慌てて後を追った。