【完】すき、好き、大スキ。
「つーかさ。お前彼女のくせに片想いみたいじゃね?」
何気なく言ったんだろうけど、
その言葉にハンバーガーを食べようとした大きく開けた口が閉じてしまった。
「あ。片想いでもこんな行動しねーか」
ケラケラと笑う軽い言葉が、胸をチクンと刺した。
あたしが何も言わないのを変に思ったのか
「梢?」
一樹が不思議そうに名前を呼んだ。
「……わかってるよ」
「へ?」
「言われなくてもわかってんだ。
彼女って、こんな事……普通はしないよね」
「え。梢?」
「あたしとね、璃久の好きは違うと思うんだ」
そう違うんだよね。
「あたしは好きだから一緒に居たいし。
ちょっとでも一緒に居れる為なら無理だって大変だと思わない。
でも璃久は違うもん。
勉強とか、学校とか、色んな物が大切でね」
わかってる、それも大切な事なんだって。
「全部をやっちゃう凄い人なんだよ、年下なのにさ。
学校も遅刻しないし、ズルして休まないし。勉強だって予習復習するし。
高3のあたしの勉強だってわかっちゃうんだよ、凄いでしょう?」
だけど、だけど。