【完】すき、好き、大スキ。
「よし。んじゃサッサッと帰ろう」
そうトレイを持ち立ち上がった一樹に続いて、
あたしも鞄とトレイを持って立ち上がった。
そーっと、バレないように腰を低くしたまま。
これが、いけなかったのか。
間違いだったのか。
椅子に足を引っ掛けてしまい、
それは見事に、そうまるで漫画のように
――ドンッ
こけてしまった。
飛んでいったトレイ。
ハンバーガーの袋。
ジュースの入れ物から
氷が飛び出さなかったのがせめてもの救いだった。
けど。
「おい、大丈夫か?」
一樹の心配する声と
「え、梢さん!?」
後藤さんの驚く声が
同時に聞こえたのは言うまでもない。