【完】すき、好き、大スキ。
作戦なんて、まるで関係なく。
こんな偶然なんて有り得ない。
失敗、もいいところ。
「立てる?」
あたしの腕を持った一樹に、
小さく頷くと勢いよく立ち上がった。
開き直りとは、こういう事を言うんだと思う。
だって、どう考えても誤魔化しようがない。
少しはマシな方法があるのかもしんないけど、
あたしのバカな頭じゃそれすら思いつかないよ。
立ち上がると、視界に映った一樹、後藤さん、と……璃久。
「……何しとんねん」
あたしに近付くと
呆れた顔に、小さく吐いた息。
そんな表情に、涙が出そうになる。
転んで恥ずかしいのと。
有り得ない失敗と。
色んなものが混じって、
それが涙として溢れ出そうになった。