【完】すき、好き、大スキ。
「き、昨日、用事あってさー……」
哀しみに似た怒りを抑えようと、
話題をそれとなーく戻してみた。
「あ、そ」
って、それだけ!?
他にはないの?
『用事って何?』とか『来ないなら連絡しろ』とか、そーいうの。
璃久にとってあたしが塾へ来るこの時間は、それほど大事なことじゃないんだ。
別に来なくなっても不安に思ったり、
心配したり、寂しく思ったり……
そんな感情すら沸かない。
あ、来てないんだ。それくらいの思い……なんだね。
これは恋愛内での上下関係なのかな。
それとも人としての上下関係?
よくわかんないけど、どっちにせよ、あたしはどちらにしても璃久より下ってことだけはわかる。
恋愛に関しては、宇宙と深海ほどの差があって。
人としても、空と地上くらいの差はあるんだと思う。
この差を埋めるにはどうしたらいいのかな。
まず恋愛で璃久を追いかけた時点から無理なのかも。