【完】すき、好き、大スキ。
「で、家着いたんやけど」
「へ!?」
璃久の声に顔をあげると、
そこには見慣れた璃久の家があって。
思わず変な声を出してしまった。
は!?
あたし、塾の前からずっと一人考え込んで歩いてきたわけ?
「あ、ごめんっ!」
一緒に帰ってもらってるのに、
喋らないとかすっごい悪い事しちゃった。
必死になり謝ったあたしを見下ろし
「別にえぇけど。何かあったんか?」
え、えぇ、えええ!
璃久が心配してくれてる!?
「な、何も! 何もないよっ!」
たった、それだけのことが嬉しくて声が上擦る。
だって璃久が心配してくれるとか……奇跡じゃん。
「ふーん。なら、えぇけど」
気のない返事だって気にもならない。
ちょっと心配してくれただけで嬉しいんだもん♪
あ、こういう考えを持つ事が、既に対等じゃないのかもしんないなー。
ぼんやり、そんな事を思いながら璃久を見つめていた。