【完】すき、好き、大スキ。
玄関に入った璃久の姿を見届けた後
クルッと来た道へと方向転換。
お昼は、まだ暖かいこの季節でも夜は冷える。
それは璃久が居なくなったら余計で。
あたしはカーデガンの袖を少し長くして、両手で押さえた。
そうして歩き出した、あたしの後ろから急ぐ足音が聞こえて来たと思った瞬間。
「コンビニ! ……寄るん忘れた」
あたしの肩を掴んだ璃久が居た。
「え? 璃久? あーコンビニ? ごめん、あたしがボーっとしてたからだよね」
帰り道、ボーっとしてたから寄れなかったんだ。
ううう。
迷惑ばっかかけてるなぁ。
そりゃ対等になれるわけがないよね。
「別にそういうわけちゃうけど」
そう言ってくれる璃久の優しさにキュンってしながらも、後もう少し一緒に居れる嬉しさに、胸が熱くなった。