【完】すき、好き、大スキ。
んでもって、またもや理解不能。
俺は、やっぱり梢を理解しきれん……。
塾が終わり外に出ると、
冷たい風がびゅーっと俺の前を通った。
「さっむ」
ぼそっと言った俺の後ろから
「昼間はあったかいのに、夜は寒くなってきたね」
と後藤が声をかける。
ん、と短い相槌をうって、
俺は視線を違う方へと向けた。
あ、れ?
そんな俺の頭の中の言葉とリンクするかのように
「今日、梢さん来ないの?」
そう後藤が指差した先は、
いつも梢が待ってる場所。
「さぁ?」
「さぁ? って聞いてないの?」
後藤に向けた視線を、
もう一度誰も居ない手すりへと向ける。
あいつのことやから……
どうせ、居残りかなんかやろ。
そう思ってしまわれるのは、
あいつの頭の悪さを知ってるから。